子育てで感じた違和感【第三章】⑦
〈その7〉娘の思い
娘が高校生だったある日、家族で旅行に行った先で急に生理になってしまい、宿泊先の寝具を汚してしまったことがあった。
そのとき、あの子は自分のスマホをベッドに投げつけて、
「オレは好きで生理なんかになってるんじゃねー!」
と叫んで涙を流した。
立ち尽くして俯いたまま肩を震わせて泣いているその姿は、なんとも哀れで、思わず抱きしめずにはいられなかった。
この子が女性であることをこれほどまでも受け入れられずにいる姿を目の当たりにし、私もどうしていいかわからなくなった。
これまでも女の子なんだから生理の記録をつけるようにと促したことがあったが、娘はまったく聞く耳を持たなかった。
生理の話は殊に無視された。
いま覚えば、女性の象徴とも言うべき「生理」は娘にとってなによりも辛く、忌み嫌うものだったのだと思う。
-- そう、これが、
あの日、私がカミングアウトを受けた時に、心に起こったもやもやの正体のひとつ。
〈詳しくは『ふたつの感情 【第一章】』〉
〜 以上、これが私の子育てのなかで感じた違和感の数々だ。
(『子育てで感じた違和感『第三章』①〜⑦)
私はこれまでの子育てのなかで、これほども子どもの性別に違和感を感じていながら、具体的に突き詰めることもせずにやり過ごして来てしまっていたのだ。
いま思うと、そのことに言及することがタブーのような空気があったようにも思う。
だから、私はそのことに触れないようにして、ここまで来たのかもしれない。
そんな思いがあったから、あの告白の日、これらの事象がもやもやした感情となって、私を襲って来たのだ。
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